ピンクヒスイとタンザナイトは双子の姉妹?■ピンクヒスイ勾玉の写真 | 18:38 |
写真上は四川省産水晶クラスター。濃緑色で苔に似た結晶がエピドート。
拡大してみればリッパな姿に見える。
ピンクヒスイは極微の結晶が集合・凝集して岩塊状になっている。
エピドートとピンヒスイはほぼ同じ鉱物で、結晶時に含有される鉄分の違いによって
どちらになるかが決まってしまう。
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とくに色味の濃い製品は掲載分で終了です。
ピンクヒスイの勾玉に触れていると、名前と製品がじつによくマッチしていると思う。
姫神が姫神として生まれたばかりのような初々しさがとてもいい。
彼女は水辺に座る。彼女がそこにいるだけで彼女の周囲の世界すべてが浄化される。
ネパールにはクマリとよばれる少女の生き神さまがいる。
彼女のオーラは真紅に燃えている。辰砂(丹生・シナバー)の結晶の輝きがある。
でも彼女が少女に戻るとオーラはピンクに薄まる。ピンクヒスイにはそんな味わいがある。
ピンクヒスイはピンクオパールやピンクアラゴナイト(ピンクカルサイト)と似ているが
やっぱり違う。このデリケートな違いを識別できる「眼」の能力を凄いと思うし、
この識別する能力は、じつは「眼」の力ではなく、
パワーを識別する身体の能力ではないかと思ったりする。
ピンクヒスイは日本でだけ通用する愛称で、鉱物学的にはヒスイ輝石ではなく、
エピドートの仲間に属していて、和名を桃簾石(とうれんせき)、英語名をチューライトという。
岩塊状で産出するので岩石としてはロジン岩の一種とされている。
鉱物ファンであればエピドートと聞いてトルマリンに似たペンシル状の結晶を思いおこす、
あるいは四川省で採掘される形状がアメシストに似た水晶クラスターと共存する
苔のような結晶を思い出す人もいる。
エピドートの分子構成はカルシウム+鉄+アルミニウム+ケイ酸塩+水酸基で、
同じ分子構成でも鉄の含有量が少なくなると、クリノゾイサイト(斜灰簾石)、
ゾイサイト(ゆうれん石)と変わっていく。
(アクチノライト・緑閃石の分子構成はカルシウム+マグネシウム+鉄+ケイ酸塩+水酸基で、
幾分エピドートに似ている。こちらは鉄の含有量が少なくなると
トレモライト・透閃石に変わっていく)。
ピンクヒスイ(桃簾石)はクリノゾイサイトの一種で、
クリノゾイサイトとゾイサイトは同質異像の関係にある。
こんなふうに鉱物名を羅列すると混乱してしまうが、
ゾイサイトの結晶で宝石質なものがタンザナイトなので、
ピンクヒスイとエピドート、タンザナイトは分子構造がほぼ同じ、
同じDNAをわけあった兄弟姉妹のような関係にある。
エピドートやタンザナイトは結晶を成長させて宝石質となるが、
同じ結晶であってもミクロの微結晶が集積して岩塊状を呈するものもあって、
ピンクヒスイは岩石として私たちの眼に触れる。
岩石状のピンクヒスイは全部がピンクヒスイというのはまれで
通常は微粒子状緑色のエピドートと混在している。
こんなところがピンクヒスイに緑色がまじりやすい理由だ。
鉱物学的には固溶体というわずかの成分の違いで、
天地がひっくり返るほどに異なる色合いに変わる鉱物のグループがある。
そういうのに触れるとめくるめくほどに不思議なことと思う。
そのうち触れることもあるだろうが、翡翠原石が蛇紋岩に包まれて地下深くから
地表へと上ってくるようにロジン岩も同じようにして地表に上ってくる。
ピンクヒスイは翡翠原石の産地、糸魚川地方ならではの鉱物である。