綺麗な鉱物の四方山話を『雲根誌』みたいに | 11:59 |
<綺麗な鉱物>
花のパワーを水に転写する。できあがったパワーウォーターはホメオパシーと同じで、
薄めるほどにパワー効果が強まるというフラワーエッセンスなるものがいっとき流行した。
マーケティングが上手でうちの近所のショッピングセンターでも販売されていた。
これと類似の方法で鉱物や宝石のパワーを水に転写したジェムエッセンスというものもあった。
いまも愛好家がいるんだろうけれど、世に疎くなってよくわからない。
ジェムエッセンスを作るならまさにこれという容器風ジオードを本箱の片隅に見つけた。
石ヤを始めてからの30年間はいつも忙しくて身の回りを整理する時間がなかった。
山の家の自分の部屋などはいまもVHSやカセットテープが山積みで
古いテレビとビデオデッキも生きている。そんなふうだから20数年前の水晶のカット見本、
旅行の土産物、などいろいろなものを再発見できる。
メノウジオードは85x60x85mmほどの大きさ。
聖水を作るにまたとない形状で、鉱物好きの酒呑みなら風雅な酒器になる。3-18-3
<綺麗な鉱物>
倉庫を整理していると、あら、こんなところにも、というふうに再発見・再発掘する鉱物たちがいる。
たいがいは好物だからとちょっと取り置いておいた鉱物で、
まるでモズのハヤニエ(速贄)みたいだ。
カケスは頭上の雲を目印に河原などに穴を掘って餌をうめるという。
ヌケサクカケスに似ていなくもない。
ブラジルに移住して紆余曲折、天然石のディーラーになった人たちがいて、
彼らは水晶やアメシスト、各種鉱物標本を東京に運んで卸売りしていた。
今回倉庫から再発掘・再発見したエレスチャル風も彼らから仕入れたうちのひとつで、
形は秀逸なのだが、色のぼけ加減にやや問題がある風情だった。裏側は複雑怪奇な結晶模様。
どこでどうイメージが結びつくのか、こうした模様を見るとヒマラヤの山奥の寒村を思いだす。
これを渓流に持ち運んで水に濡らしたら、全部が瞬時に小豆色に変わった。
ゲーサイトの針状結晶らしいものがびっしりと内包されているせいだった。
なんともはや、不思議なこともあるものだと驚いた。603g,125x110x45mm。3-18-4
<綺麗な鉱物>
水晶は水と相性がいい。地下水脈の熱水のなかで誕生したのだからあたりまえなんだろう。
水晶を水に浸すと、水晶がほっとする吐息のようなものが伝わってくる。
水道水で水晶を水浴びさせると 水晶が浄化されるにつれて自分の気持ちも軽く、
清々しくなっていく。そういう感触が手に取るようにわかる。
そんなふうなので山の家の渓流で水晶たちの写真を撮ると心に愉悦がひろがっていく。
水の流れへと自分が溶けてゆくような気分のときもある。
写真はエレスチャルタイプの水晶ポイントで、
古くからの水晶を包みこむようにスモーキークォーツが発達している。
冬の朝、解けた氷の上に新たな氷がはるように、
なんだか急いで結晶したかに見える。536g,120mm 3-18-4