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臨時休業のおしらせ 11:05
黒水晶
臨時休業のおしらせ
6月16日(日)−20(木)まで休業します。
自動配信後のご注文確認メールと商品の発送は
20日以降に順にお送りします
休業期間中はお問合わせなどメールの返信もできません。
ご不便おかけしますがよろしくご了解ください。
(写真は中国産黒水晶。日本式双晶なら超めでたい。)
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■<子天狗玄太> 行者は敗退して霊力・精力・性力を失った 10:24
春の雪
<子天狗玄太> 
テレビで夜9時のNHKニュースをみていた。窓ガラスを叩く音がして、カーテンを開けると玄太がいた。
「おとうがね、行者をやっつけた!」と彼は言った。
岩船神社の鳥居をくぐり石段の下からみあげると、薄暗い街灯に照らされた境内に
3メートルはあろうと思える巨人が黒い影絵となって立っていた。
異様に大きな身の丈は天狗本来の大きさなのか、見慣れない光景に鳥肌がたった。
「おとう、おじさんを連れてきた」玄太が声をかけて石段をかけのぼった。
巨人の影は人並みに縮んで、銀狐が腰をあげた。
足下にはかけ布団を丸めたような、白っぽいかたまりが横たわっていた。
修験の行者のなりをして白装束で身をかためた行者だった。
杉の巨木の根元に背中をあずけて両足を投げ出し、うなだれた頭が胸に埋もれていた。
両手は力を失って脇にたれていた。捨てられたきぐるみのように生気がなかった。
「死んでるんですか?」挨拶もせずに父に訊いた。「気絶しているだけです」彼が応えた。
「この人は結界があるのを承知で押し入ろうとした。それで弾き飛ばされたんです。
たわめたゴムのチューブに弾かれたのと同じです。行者風情に虚仮にされるわけにはいきません。
結界に奪魂の術を加えておいたんです」
「奪魂の術?」「験力を一気に奪う術です」
「病院に運ばなくてもいいんですか?」「大丈夫でしょう。そのうち気付きます」
「女神さまは?」「玄太が人間の思念の及ばない場所にかくまっています」
天狗はかがんで行者の顎を持ち上げた。「これでこの男の人生は終わったも同じです。
きょうこのときから死ぬ日まで、だれひとり彼を必要としないし敬わない。
彼には両目をえぐられるより辛いことかもしれません」「えっ?」
「人間どうしがだましあったり、諍いあったり、殺しあうのはしかたがない。
けれど人間の分際をこえることは許されない。たとえ悪気なくそれをしたとしても、
報いは受けなくてはなりません。人間の分際で神を使役しようとしたそのことが大罪なんです」
「彼がふたたび神社を襲うということはないですか?」
「そのことなら心配に及びません。彼の人生はこれで終りです。二度と験力は使えません。
いかに修行しようと力は身に付かない。生殖能力も失われたままになるでしょう。
加持祈祷しても効力がない、占いは当たらない。セックスを餌に女信者を集めることもできない。
信者から見放されて凋落します。霊的なことには触れずに、ごく普通の人生をおくればいい。
でもこういう男にはそれができない。不平不満を並びたて自己憐憫を重ね着していくだけです」
「ええっ、そんな身も蓋もない。残りの人生はまるっきりの敗者というわけですか?」 
「そうですね。でもしかたがない。彼は残りの日々をみじめったらしく暮らすのです。
……天狗には情がないとお思いですか?」「ええ、まあ……」
「人間も天狗もだれもが少しの間、こちら側にいるだけのことです。
存在のうつろさはそこらの虫と変わらない。けれど人間は心の内に宇宙の広大さを宿している。
それを見る可能性において存在の意義が生じるんです。日々の不満や羨望を厚着しすぎたり、
絶望したりして内なる宇宙につながる通路に蓋をしたらそれで終わり。
彼の生命には一切の価値がなくなるということです。人間とは違う天狗の価値観です」
行者は小一時間もすれば気絶から覚める。との玄太の父の言葉を最後にぼくは彼らと別れた。
振り返ったときには彼らの姿はなかった。
行者とはまた会うことになるだろう、そんな気がした。4-19-3 077
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カルサイトからアメシストへ。ここにも風変わりな奴らがいる 21:21
アメシスト
<アメシスト> 
『理趣経』を読んだばかりの日々のうちに、こういうアメシストに触れると、
ついリンガヨニ風イメージを抱いてしまう。
写真の標本は、バナナほどの水晶ポイントをホットドッグの具でもあるかのように、
板状水晶が取り巻いていて、先端にアメシストの群晶が集っている。
外側の後から発達した水晶が内側の柱状結晶を抱擁しているとみるか、
締め殺しとみるかで見立ては全然変わってくる。
父系社会的で他者支配を理想化したがる人は後者のように見立てて、
母系的な抱擁のうちに喜びをわかちあうのが好みであれば前者のように見るだろう。
いずれにしろ後からの水晶が先きの水晶をこのように取り巻くのは、千万にひとつほどの可能性しかなくて、
それを想像すると、法華経の大袈裟な年代標記どうよう気が遠くなる。4-19-5


アメシスト
<アメシスト> 
これはアメシスト+カルサイトの相当不可解な結晶。ブラジルやウルグアイ産では両者が集う場合、
たいがいアメシスト・クラスターの上にカルサイトが乗っている。
アメシストが結晶した晶洞(ジオード)に後からカルサイト濃度の高い地下水がやってきたことを
表していて、リンカーン・ライムでなくてもその程度のことはわかる。
ところがこの標本ではカルサイトができた上にアメシストが析出し、反対側では、
こうやって結晶を育てるんだといわんばかりに、赤ん坊アメシストが多数へばりついている。
地殻変動などでマグマが接近して、ケイ酸濃度の高いマグマの残りものなり熱水を引き入れた
ということなんだろうか。カルサイトが溶けずにふんばったところも不可解だ。


アメシスト
<アメシスト> 
こちらの標本では、群晶を成長させることができずにウイロウみたいにアメシストと白色水晶が
混合したまま固まってしまっている。告白できずに終わった恋のようだ。
たとえば地下でカルサイトが結晶し、やがて溶けて流れさった狭い空隙目一杯、
ぎゅうぎゅうにアメシストが成長したようである。
水石(すいせき)や飾り石が流行したバブル経済の時代には、
カルサイトとフラワーアメシストは区分けされずにいた。
地下深くでの鉱物たちの様子を正しく理解するには、
大学の地質学部に通って10年間ほど勉強しなくてはならない。
そうしたらぼくは80歳とかになっていて、卒業式の翌日に他界ということになりかねない。
それって歯科医にかよって完璧に歯の修理を終えた翌日、
交通事故で死亡するのと似たようなものだという気がする。4-19-5

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続・カルサイトからマンガンへ鉱物万華鏡がグルグル回る  08:17
メリルナイト
<デンドライト> 
マンガンからデンドライトにバトンタッチして、今度はデンドライトを内包したオパールについて。
いつどこで買ったのか覚えていない。70-80mm四角で厚さ1-2mmのデンドライトが入った
白色鉱物の板状のものを5-6枚まとめて買った。あちこちのストックボックスを開いて探し出すと、
止めてあったワゴムは劣化してボロボロになっていた。購入当初はメノウかと思っていた。
それから数年経って御徒町の宝飾品店で同様のルースを見た。
それで乳白色のデンドリックオパールであることがわかり、メリルナイトという商品名を知った。
いつまでも気持ちに残る石とか、心にひっかかるものがある石には呪術的な訴求力があると思っている。
呪術的なというのは深層心理学的なと言い換えてもいい。5-19-3


アズライトボール
<カルサイト> 
炭酸塩鉱物の代表のひとつにマラカイトとアズライトがある。
カルサイトはカルシウム+炭酸。アズライトは銅+炭酸+水酸基。
料理になぞらえれば、炭酸をひいたプライパンに賽の目に切った銅を入れて、
煮立ってきたらカップ一杯の水を加えるとアズライトができる。
アズライトは長年月経つと緑色にかわってマラカイト(孔雀石)になる。
アズライトとマラカイトは同じ成分で銅鉱石として活用できる。
マラカイトはカルサイトやインカローズ同様鍾乳石状に育つものがある。
アズライトには小さなボール状に育つものがあってアズライトボールという。
半分にわると内部ではアズライトとマラカイトが混じり合っていてとても可愛い。
両者がまだら状に重なりあった鉱物がアズルマラカイトで、ここに水色のクリソコラが加わると、
水と緑の惑星のミニチュアのようになる。クリソコラも銅系の鉱物でケイ酸をベースに銅やアルミニウム、
それに水酸基が加わってできる。(写真は小振りの天然アズライトボール)


姫川白玉
<カルサイト> 
カルサイトはカルシウム+炭酸で炭酸カルシウム。カルシウムはそのままで、今度は 
|沙世鬟螢鷸世肪屬換えるとアパタイト(リン酸カルシウム)になる。
サンゴ虫など原始的な生物の外骨格はアラゴナイト(またはカルサイト)である場合が多いが、
哺乳類などの内骨格はアパタイトが主成分になる。
進化の途上で骨はアパタイトでないと都合が悪い理由があった。
炭酸がフッ素に変わるとフッ化カルシウムとなり、フローライトが登場する。
カルシウム+ケイ酸はケイ灰石(ウラストナイト)という純白の鉱物になる。
聞き慣れない鉱物名であるが、新潟・富山県のヒスイ海岸では、しばしばヒスイと間違われて採集される。
個人的には白い鉱物ファンで、ケイ灰石の霊峰のような白さに魅了されている。
(超お気に入り「姫川白玉・ひめかわはくぎょく」は成分的にはケイ灰石に近い ヒスイの本11-13
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カルサイトからマンガンへ鉱物万華鏡がグルグル回る 09:47
カルサイト+水晶
<カルサイト> 
そして再びカルサイトの話。カルサイトとアラゴナイトは同じ成分で結晶のしかたが異なる。
性格の異なる兄弟姉妹みたいで同質異像。
カルサイトの分子構成はカルシウム+炭酸。炭酸に注目してこれを主成分とする鉱物をあげると、
.ルシウム+マグネシウム+炭酸でドロマイトができる。和名は苦石灰。
和名に「苦」がつくとマグネシウムをあらわす。マグネシウムは苦いからだという。
▲泪鵐ン+炭酸でロードクロサイト(インカローズ)。ロードクロサイトとカルサイトは
結晶形がよく似ていて、鍾乳石状のインカローズもある。
シデライトは鉄+炭酸、ぅ泪哀優汽ぅ箸魯泪哀優轡Ε燹榁沙澄染色しやすい鉱物で
ターコイスの類似品ができる。ゥスパイトはニッケル+炭酸。ニッケル発色は
クリソプレースと同じで色味が似ている。
写真はペルー産。丸いのがカルサイト、黒い四角は四面銅鉱、
水晶のかげにパイライトも潜んでいる。4-19-5


インカローズ
<カルサイト> 
インカローズの主成分のマンガンは現代産業に不可欠の元素で、
海底でのマンガン団塊の発見がしばしばニュースになる。
カルサイトやアラゴナイト、ドロマイトにマンガンが微量含まれるとピンク色に発色する。
商品名では頭にピンクを付けてピンクカルサイトなどとよぶ。
マンガンの変わりにコバルトが加わるとピンクにパープル味が加わってビビットな色味になる。
スギライトもマンガンを含んだ鉱物で紫色のほかにピンクや青色したものもある。
思い付いて書いているだけなので写真が追いついていかない。
分子を主体に鉱物をみると互いに関連して、大きなマンダラとなっているのがわかる。
写真はインカローズ原石。4-19-2


ピクチャーストーン
<マンガン> 
カルサイトからマンガンにバトンタッチ。マンガンがカルサイトやアラゴナイトを桜色に染める。
ピンク(マンガン)・カルサイトやピンク(マンガン)・アラゴナイトができる。
インカローズではあんなに美しく発色するマンガンは通常は黒色で見栄えしない。
マンガンの黒色微粒子が、大理石や石灰岩、砂岩、頁岩の隙間に沈殿すると、
樹枝状や羊歯に似た形になる。これをノキシノブに見立てて和名を忍石、英名をデンドライトという
(色味が赤茶色のものはゲーサイトである場合が多い)。
水晶やメノウ、オパールに内包される場合もある。
石の模様が風景に見えるものをピクチャーストーンとか、ランドスケープストーンという。
模様にデンドライトが混ざると天然の風景画はいっそう優美になったり壮大になる。
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<子天狗玄太>宿敵行者のプロフィールと天狗症候群な人格 10:04
焚火
★<子天狗玄太>
玄太の父と別れてからの1週間あまりは気が気でない日々がつづいた。
天狗たちとは向こうが扉を開いてくれないと会うことができない。
それに異界の人たちとは時間感覚が異なるらしい。
玄太の父から行者のあらましを聞いてあった。グーグルして彼のホームページにたどりついた。
修験の修行者の白装束でホラ貝を手にした彼の写真が大写しででていた。
氏名は神宮義和とあった。おおかたは営業用の名前だろう。
「大般若理趣の会」代表を名乗り、祈祷・祈願案内には「子授け、男女産み分け、
家相鑑定などが特記されていた。 
何年か前にオカルト系の雑誌で紹介された際の記事が全文掲載してあった。
彼は大学卒業後中学教師を7年勤めて退職した。
玄太の父の話では女癖が悪く、同僚女性教師をストーカーして警察沙汰になったという。
女生徒との猥褻行為も発覚した。
雑誌の紹介記事には、退職後に車を陸送するアルバイトをしていて交通事故にあい、
それがもとで霊能力に目覚めたとある。
行者が交通事故にあったのは地下鉄サリン事件の翌々年、1997年のことだったが、
世紀末を迎えて、『ノストラダムスの大予言』は一部のオカルトファンの間では根強い人気があった。
重度の鞭打ち症も癒えて電車に乗れるようになると、何人もの乗客の額に「滅」の文字が見えて困惑した。
ハルマゲドンで滅びていく者たちの印だった。
夢枕に役行者がたって援護するから世のために尽くすよう諭されたという。
つてをたどって修験道のグループに入り、修行するうちに師匠が病死して後を継いだ。会の名称を改めた。
記事のなかでインタビュアーが「ハルマゲドンは起きなかった」と追及すると、
「私ども修験道の修行者やチベットの密教僧、カソリックの隠遁者などが勢力をあげて祈祷したことで
回避できたが、時期を遅らせることができただけだ」と答えている。
その後は霊視能力に磨きがかかって、妊婦を見れば腹に生まれてくる赤子の性別が書かれているのが
霊視できるようになった。聖天さまの秘密儀式をマスターしたことで子授けの秘法をお教えできる。
医学的な不妊治療で効果がなかった人でも私のところにくれば3ヶ月で妊娠できる。
たくさんの実例がある。などと自己宣伝に努めている。
陰陽道では浮遊霊より幾らかましな程度の低級霊を式神として使うが、私どものところでは、
本物の神を呪文で縛って願いをかなえてもらう。だから効力が高いし、加持祈祷に無駄がない。
という下りもあった。

玄太の父は行者の人格を典型的な天狗症候群だと笑った。
自尊心が強く周囲から尊敬されていると感じることではじめて安心できる人間がいる。
彼らの自我は幼く、自己耽溺の傾向が強く、反対意見があると問答無用と否定、相手を罵倒する、
精神的な適応障害をいう。
「それって自嘲なんですか?」この話を聞いたときぼくは言った。
「いえいえ、修験道というものができて、人間たちが天狗の領域に侵入してくるようになった
時期があったんです。そのときわれらのご先祖は、赤鼻で傲慢な天狗イメージを
人間たちに植え付けることで、人間たちの干渉から離れていられるよう画策したのです。
天狗症候群というのは自己憐憫に溺れた人たちの虚勢ともいえます」
「行者をやっつける、つまりは天狗の鼻を折るということですね」ぼくも笑った。
行者は友だち付き合いあいしたくない男だった。
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フローライトの精霊と古代遺跡を歩いたりして 17:25
ふろーらいと<フローライト> 
1、2ヶ月前にテレビでオーロラの特番を見た。
オーロラを網でひとすくいして凝結材を混ぜるとフローライトになる。
膝ほどの深さの小川の底に真昼の陽射が入る、水底からの反射光が水面に広がる、
そうした光を集めて冷凍室にいれてもフローライトができる。
夕焼けが始まったばかりの空の上のほう、白い雲が浮かぶ青空の甘みのある色合いが結晶すると
そこにもフローライトができる。
そうやってできたフローライトを長の年月をかけて買い集めると、なかなか立派なコレクションができる。
ときおり精霊たちが見にきてほめそやす。
産地や鉱山名を忘れて、石たちを分類しようといいう気持ちからも離れて、
こんなに美しいものは始めてみるという気持ちで石たちに向かうなら、
フローライトは光の凝集体であることがわかる。 102mm、594g 4-19-2 783


フローライト
<フローライト> 
浅緑色して透明感の強いフローライトを前に、この石には女っぽいところがある、と思う。
すると脳裏に髪を極端に短くした女性が姿をみせた。
サングラスが邪魔して男女の区分けがしずらい。けれど間近で見ると肌が磁器のようにしまっている。
靴のサイズに女であることを確信する。彼女はサングラスをはずしてぼくを直視する。
四辺形の箱の形をしたフローライトの前で、ぼくらは2匹のカゲロウのようだった。
フローライトは眼をむけるのがはばかられるほどに透きとおっていた。
その巨大な鉱物の外壁にしつらえられた階段をぼくらは登った。背中を汗が伝った。
のぼりきると都市の遺構のような模様が広がっていた。
彼女の額には汗の粒が浮かんでいた。
彼女が笑いかけた。3千世界を掌中に納めたかのような、
神々だってそこまでは満ちたりはしないだろうと思えるほどの笑顔だった。4-19-2 0836


ふろーらいと
<フローライト> 
「2匹のカゲロウであるならぼくらは仲良くつながれる」フローライトの精霊にいってみた。
彼女はぼくの手をとって都市遺構のなかに歩みいった。
身体が潮に濡れた。珊瑚礁の水棲動物になってぼくは彼女に従う。
潮のうねりにのってただよい、眼にはみえなかったけれど、確かにそこにあった
海流の境目からぼくらは遺構の地下へとわけいった。
海のようでいて空のようでもあり、そのくせ鉱物質の艶のある色彩世界があった。
そこは地球ではない。ガニメデかどこかなんだろう。空間には沈静していても確固たる意識があった。
ぼくは彼女のなかに入り、彼女はぼくに重なった。
神々だってここまでは満ちたりはしないだろう安堵感に包まれた。4-19-2 0852
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異国の街に出現したフローライトのピラミッド・2  10:40
フローライト
<フローライト> 
行き着いた先は広い部屋で壁の全体が乳白色に蛍光していた。
スポットライトをあびた中央には1メートル立方ほどの箱があって、隣に管理人が立っていた。
「ようこそわれらが友よ」と彼はいった。こいつのものいいはいちいち癇に触る。
「もうお気付きですか、ピラミッドは実は8面体で半分は地下に埋もれているんですな」。
ドキッとする。衝撃に身震いする。ああ、と思う。
「ああ、なるほど。2千年前の中国の墳墓を見に行ったことがあります。
そこでも、地面にうがった逆ピラミッドの底に玄室がうめてありました」
「そうですか。この場所が逆ピラミッドの中心部です。まずはこれをごらんなさい」彼はいう。
四角の箱型のテーブルの上面は紫色に蛍光していて、升目が陰刻されていた。64枡からなる八卦の魔方陣だった。
「タントラですか?」「しかり。どこでそれを?」「精霊界の友人から」と答えた。
ぼくはそれを玄太の父からきいた。「前後左右は東西南北となり、南北は天地に置換される。
天の8方位と地の8方位がまじわって64の事象に分割される。
64体のヨーギニ、つまりダキニがそこに顕現する」。
玄太の父はこれを、現象世界の諸事情を64に分類して八卦はできているが、
いにしえのタントリカたちはそれを女神の機能とみて、64ヨーギニ・テンプルを建立した、
というふうにいった。たぶんインドが先だった。
管理人はうなづき「聖数8は陰の最大数で女神の数字でもあるのです。2乗すれば64になります。
ご存知とは思いますが」といった。4-19-3


フローライト
<フローライト> 
アーサー・クラークが夢想したモノリスのように、誰かがフローライトの巨大ピラミッドを
異国の辺鄙な土地に置いた。ピラミッドは地表に乗せられていたわけではなく、
地下の逆ピラミットと結合した八面体だった。つまりあれを設置するにはそうとう大掛かりな土木工事を
必要としたが、それに気付いた地元民はいなかった。地下の玄室に相当する部分には棺ではなく、
64の枡目を描いたプレートが置いてあった。
世界は64の「質」あるいはパワーの色合いによって統合されていることを顕示しているかのようだった。
その図形は世界の概念図、もしくは鋳型だった。やがてその土地はパワースポット詣でをする人たちの
聖地になったけれど、ピラミッドが逆ピラミッドと結合していることや、
玄室に八卦のプレートが鎮座していることは報道されはしなかった。
何人かは知っていただろうが、彼らがSNSに書いてもそれを真にうける学者や大手メディアは
なかったということだろう。昨日のこと、msnのヘッドラインを読んでいたら、
そのピラミッドは出現したときと同じ唐突さで消失したとでていた。
管理人のコメントがあって「残念なことをしましたな」とあった。
(これはフィクションです)4-19-2
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異国の街に出現したフローライトのピラミッド・1 20:42
フローライト
<フローライト> 
町中のちょっとした広場だった。そこにそのフローライトは突然出現したのだという。10年前の出来事だった。
5階建てのマンションほどの大きさでピラミッド型の緑色半透明のフローライトだった。
学者たちはひたむきにそれを研究した。ばかでかくはあるが双晶のフローライトであること以外、
なにもわからなかった。
「どこから来なさった」管理人がいった。「トーキョーから」ぼくは答える。
「ここまでくるのに飛行機にのり、列車とバスを乗りついで5日間かかりました」
「まるで池の真ん中に投げこまれた小石から波紋が広がっていくようですな。神秘の小石です。
神秘がここから世界中に広がり、神秘に惹かれる人たちを集めているのです。不思議なことですな」
「ええ」ぼくは言って巨大な緑のピラミッドを見上げた。4-19-3 


フローライト
<フローライト>  
「このピラミッドには満月の夜にだけ開く扉があるんです。
科学者たちにはわかりようのないことですがね。日本からも調査隊がきました。
徒労でしたな」管理人がいう。「へえ、」尊大ぶったものいいに賛同しかねる声でぼくはいう。
「人は世界はかくかくしかじかであると教わり、その考え方を唯一の世界の在り方と信じるんですな。
そうやって世界は疑いようのない実在として存在していきます。
けれどこのピラミッドはそういう世界の解釈の仕方に属しておらんのですな」
「ああ、第三の眼とかで内側に入る扉を探せということですか」
「まさにしかり、第三の眼をおもちですかな?」
「ぼくはありきたりの旅人なんですよ、特殊な能力はからきしです」
「ともかくも満月の夜までこの地ですごされるようお勧めします。
ピラミダス全体が青白い蛍光色を発して、それはもう、この世のものとはおもえないほどみごとに輝くんです」 4-19-3


フローライト
<フローライト>
この土地の満月は東京でみるのとだいぶ違う。こうこうと輝くさまは陽射であるがごとくに強烈で、
天上にのぼった満月のしたでピラミッドは青紫の蛍光色を発して超巨大な蛍光灯スタンドのごとくに
自ら輝いていた。ああ、蛍光灯と蛍の光とフローライトは同じ原理で光るんだ、などと思う。
ピラミッドの内部に入る扉があると、管理人が行っていた。周囲を一巡しても扉らしきものはなく、
観光客や参拝人のたぐいも見当たらず、静まりかえっている。
しきりとタバコがすいたくなるが、数年前にやめたままだ。
思案してあれだと、思いつく。
「トンネルをくぐる、野原がある、ガイドが来るのを待つ、そうやって物語が進展していく」。
あの瞑想法に従って、さらに一巡して北西のすみに開いた切り口があるのを見た。
入り口の壁が緑色に蛍光していた。地下へと向かう狭い階段があった。
階段は7つ8つと折れて地下深くへと降りていった。
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<フローライト> フローライト(フッ化カルシウム)の基礎知識  10:16
フローライト
<フローライト> 
フローライトの分子組成はカルシウム+フッ素(Ca F2)で、フッ化カルシウムとよんだりする。
カルシウムの多くは珊瑚礁に由来する石灰岩から供給されることを思えば、
フローライトが地殻の比較的浅い部分で生成されることがわかる。
フッ素は花崗岩からもたらされる揮発性成分のひとつで反応性が高いという。
つまり、フローライトの多くはスカルン(石灰岩と火成岩の混合地帯)に産出して、
人間が採掘しやすい土地にあるのが、世界各地で産出される理由となっている、
製鉄時に鉱石といっしょに溶鉱炉に投入すると、鉄を溶けだしやすくする性質があるので
溶融材(フラックス)として用いられる。
フローライトの結晶はサイコロ状だったり8面体だったり両者が混合していたりする。
四角形の縁(へり)が面取りされているようなものもある。
単体でピラミッドを上下に合わせた形、8面体をしたものは
職人が劈開面にそってハンマーで割って作ると聞くようになってひさしい。
そのくせ原石をカナヅチでいかに叩こうと8面体に割れたためしがない
(知識の多くは実証されずに伝搬していく)。210g/74mm。4-19-3 282


フローライト
<フローライト> 
フローライトには紫外線が刺激となって発光するものがある。
熱源なくして発光するのは蛍のようなもので、苔や魚にもそういうのがいる。
蛍光灯という名称も蛍の光からきている。フローライトの蛍光色はフローレッセンスという。
フローライトの基本色は白で、異種物質が混ざったり、結晶の格子状構造に欠けなどが生じることで
緑・紫・黄・橙・桃色などに発色する。結晶の発育期の間に休止期が入ると縞状になるという。
電子顕微鏡的には結晶はバベルの塔のレンガ建築よろしく、分子が格子状に並んでいくことで構築される。
子供のころの授業で「物理は理路整然とした法則性を学ぶ学問だ」といったことを教えられた。
長じて学んだのは法則は例外だらけという事実だった。
分子の格子も欠陥だらけで、いびつだったり、隙間があったりする。
自然界の構成はけっこう雑であるし、いい加減であるし、
幼馴染みと結婚するみたいに、身近なものですませようとする傾向がある。
こうした科学から学んだのは、百頭の羊がいるとして99頭の羊のように振るまわなくてはならない
いわれはない、ということだった。いい子に育てと望む親には気絶してしまいそうな意見なんだろう。
フローライトははぐれものであるほど美しいといえなくはない。4-19-3 172 ブログ鉱物

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