| CALENDAR | RECOMMEND | ENTRY | COMMENT | TRACKBACK | CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE |
中央アジアと日本列島を結ぶ勾玉のなぞ■アマゾナイト勾玉の写真 14:07
アマゾナイト原石
アマゾナイト吉祥勾玉

アマゾナイト(天河石)は賢治が愛した鉱物のひとつ。
これまでは緑色のものが主体だったが、
ペルー産の美しい空色したビーズが忽然と出回るようになっている。
写真上はブラジル産(?)アマゾナイト原石。
下は当社特製のアマゾナイト30ミリ空色勾玉(¥3300)。

「そこの空は早くも鋼青から天河石(アマゾナイト)の板に変わっていたことから
実にあきらかだったのです。その冷たい桔梗色の底光りする空間を一人の天が
翔(か)けているのを私は見ました」(インドラの綱)
というように賢治にとってアマゾナイトは
意識が向こう側へ行ってしまった世界でみる空の色だった。



不思議な話がある。
賢治の本『宮沢賢治と天然石』(裏タイトルは『賢治と変性意識』)が終わって、
次は『勾玉』の本を書こうかと、2週間ほど前に思いたった。
日本翡翠テーマの本を作りたいと考えてきたのだが、
世間全般から見るならマイナーすぎて具体案を練るのに躊躇していた。
でも勾玉ならいけそうだし、日本翡翠についても思う存分入れられる。
「賢治と変性意識」のような独自の見解だって展開できそうだ。
そんなことを漠然と考えているうちにスラスラとおぼろな章立てができた。
けれど『宮沢賢治と天然石』が増刷されないと出版社に次の本を出してとは言いにくい。
 
そうやって2、3日が過ぎて『宮沢賢治と天然石』を褒めてくれる始めての電話がかかってきた。
以外なことに異国の人だった。彼女は中華系の人のような日本語の話し方をした。
うちの勾玉を注文してくれたので、名前と住所を聞いた。
中国人らしからぬ、どこの人とも見当がつかない名前だった。
思わず、どちらのお国の方ですかと問うと、中央アジアとの答えだった。
 
それから届いた勾玉に満足してるというような電話が再度あって、
勾玉は日本だけのものと思われているようだが、
中央アジアの故国を出るときに祖母が持たせてくれた勾玉を持っている
というように話が進んでいった。
 
日本翡翠の大珠(タイシュ)を愛玩した縄文中期の文化と、
日本翡翠の勾玉、ついで碧玉(出雲石、グリーンジャスパー)やメノウ、琥珀、
水晶で勾玉を作った文化との間にはつながりがありながらも断絶がある。
 
この断絶にいまの内蒙古に近い場所に5−6千年前に栄えた紅山文化からの
渡来民がからんでいるのではと、ぼくは推測している。
大珠の前に日本列島ではC字型をしたけつ状耳飾りとよばれる呪具が流行した。
この耳飾りは紅山文化の特産品で北海道を経由して本州に伝わったようだ。
さらには紅山文化の石器の図録を見ると、
たくさんの管玉や原初勾玉と呼べそうな出土品のあることがわかる。
 
これから時代の整合性のメモを作るところなので、断言はできないが、
古い時代の紅山文化がけつ状耳飾りを列島に運び、
新しい時代の紅山文化は日本海を渡って、糸魚川あたりに着いたと考えると、
勾玉の由来について納得のゆくものがある。紅山文化の玉製品は北方へも伝搬して
モンゴルから中央アジアに勾玉の類似品が残ったとしてもなんの不思議はない。
 
勾玉についてあれこれ考えを巡らせようかとしている時期に、
こういうふうな話の進展があると驚いてしまう。
| 日本翡翠・糸魚川翡翠勾玉(まがたま) | comments(2) | trackbacks(0) | posted by YK
Comment








こんにちわ。
カリブ海のドミニカ共和国から絵描きの山田です。
かなり以前にペルシャでしたか、ちょっと記憶に自信がありませんが、勾玉状の石の装飾品が出土した写真を見たことがあります。縄文時代に出土する牙が丸みを帯びたような形だったと思います。おそらくこの装飾品(ネックレス状)の石が、世界でもっとも日本勾玉に近い形ではないでしょうか?
posted by 山田です♪ | 2010/09/19 2:10 PM |
ご連絡ありがとうございます。
イスタンブールだったかの博物館に勾玉が展示されているという
話を聞いたことがあります。
古代にはぼくたちの想像をはるかに超えて、人やモノが各地を行き来していたということのようです。
勾玉の世界各地への伝播とか、類似のデザインの製作など、
これまで聞いたこともないことがらなので、非常に興味深く
思っています。
posted by YK | 2010/09/19 3:00 PM |
Trackback
この記事のトラックバックURL: トラックバック機能は終了しました。
<< NEW | TOP | OLD>>