〈ザ・ストーンズ・バザール〉閉店へのカウントダウン・3 | 10:03 |
<閉店セール>
週末ごとにたくさんのお客さんが来店して、別れを惜しんでくれるのがとてもありがたい。
子供たちが親とは異なるキャラクターであるように、
店には店の個性があって、店主の思惑を離れたところで自立している。
産みの親であるぼくは隅のほうにいて子供の成長ぶりに眼を細めている。
閉店セールというのはもう少し地味で侘しくて、
たとえば日本文学にありがちなじめじめとして陰鬱なものだと思っていた。
いざ始まってみると開店セールとおなじほどのにぎわい。
火星の植民都市のスーベニールショップのようだ。
店頭販売とネットショップとの両立で、店頭の製品の補充をしたり、
新規7割引製品を選んだりする暇もないまま時間切れになるというのは予想もしなかった。
どこかの観光地に<ザ・ストーンズ・アウトレット>という店を開いて、
年中「閉店セール」をすると、石ヤの新規業態としてやっていけるのではないかと考えたりしている。
まあ、軽いジョークであるけれど。
<閉店セール>
<ザ・ストーンズ・アウトレット>はグッドアイデアなので、
新規ホームページにもアウトレット特設コーナーを設けようと思いはじめている。
振り返れば、魅力のある製品はいっぱいあっても、
お客さんの予算と折り合いがつきにくいことに問題があった。
製品開発などに関連する手法のひとつにブレーンストーミングというのがある。
そういう世界から離れてずいぶんと時間が経っているので、最近の呼び名を知らない。
要は自分ひとりでブレーンストーミングをする。
頭のなかでひとつの発想が伸びていくのを眺めやると、
<ザ・ストーンズ・アウトレット>はとてもおもしろい。
その気になればいくらでも新製品を開発できるし、
あちらやこちらから山ほどに製品を集めてこられる、
などとアイデアを練りはじめると、またまた石ヤに戻りそうな霧がうずまきはじめて、
いささかヤバイと思ったりもする。
私がやりたいと手をあげる人がいれば、ノウハウもブツも提供できる。
<閉店セール>
以前「絵のある石」の展覧会を企画したことがあった。
たとえばギャラリーがたくさんある町で、
数社の石ヤが協力して同時多発的に天然石の展示即売会を開く。
あるいは列島を巡回してまわる。
当時は中国産天然石に興味津々だったこともあって、
展示会用石の候補として山水画石、太古天然石画、セプタリアン、金宝玉などを集めた。
リーマンショック騒ぎで企画は中断したままになっている。
これをもう一度よみがえさせる。
<ザ・ストーンズ・アウトレット>の列島縦断キャラバンはおもしろい。
黄道12宮の星座図のようにキャラバンは列島を巡り、
勢いつけて台湾・香港・中国本土、さらにはタイやインドへと進行いていく。
列島縦断キャラバンと地元作家たちがコラボすれば展示会はいっそう華やぐ。
天然石ビジネスは雑誌の特集記事のように
見開きごとに新しい驚きが織りこまれた物語が展開していくのが望ましい。