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岩船神社に乳白色の光の柱が立った  09:51
ミズチ
<子天狗玄太> 
子天狗の物語の龍蔵神社は岩船神社と名称を変更しました。
龍蔵神社の女神がショートパンツ姿だと迷惑に感じる人がいるかもしれないので。
彼女は髪を高い位置でポニーテールに結んであぐらを組み、玄太の隣に座っている。
あんなにキュートな女の子はこれまで見たことがなかった。
今から1000年ほどの昔、平安時代のはじめ、空海が高野山を訪ねて、
丹生津姫の出迎えを受けたのと同じころ、数十羽のオオサギを供に、あやなす電磁波のシールドに包まれて、
形を見定められない岩船が陣馬山のふもと、醍醐川のとある淵に着水した。
岩船は水中に没して、一頭のミズチが川をくだった。
ミズチは山裾の一角、農家が一棟建てられるほどの空き地に上がってとぐろを巻いた。
修験の行者がそれを霊視して、竜宮の女神の来訪といって神社を建てた。
雨乞いの神社としてあがめられ、雨乞いには黒雲を招くよう黒馬の絵馬が、
長雨の忌避には晴天の白雲を招来すべく白馬の絵馬が捧げられた。
神話では竜宮の女神は人間世界をたずねて、子孫がヤマト王朝の大王となる息子を産んだ。
それにあやかって岩船神社は子授け安産の女神として信仰されている。


<子天狗玄太> 
夜通し風が吹きあれて、山がびゅーびゅーと鳴いた。翌朝は昨夜の嵐が嘘だったように晴れた。
岩船神社の境内には枯れ枝や枯れ葉が散っていた。尋ねる人のいないだろう神社だから、
拝殿の回廊を覆う土埃にも枯れ葉が散っている。
参拝をすませて、境内のなかほどに立って神社を見た。
拝殿の真後ろ、本殿の上からひとかかえほどもある光りの柱が天空に伸びていた。
玄太が岩船の女神が目覚めたといっていた。その証しということなだろうか、
柱は乳白色半透明のオパールのように輝き、いたるところで微妙に色合いをかえながら、
大空を照らすサーチライトそのままに光をふきあげていた。
遊色効果のないオパールをコモンオパールという。メキシコ産のコモンオパールのなかには、
ミルキークォーツに似てわずかに白色の濁りをみせ、いくらかは青味のある
ウォーターオパールとよぶ種類のものがある。半月の月明りが遠浅の海底に降りて、
サクラ貝の貝殻を照らしているように美しい。
背骨をかけのぼるクンダリニーのようだと思って光りの柱にみとれた。
それはコンピュータグラフィックスでなければ描けえない、SF映画のなかの情景そのものだった。


<子天狗玄太> 
光りの柱に見惚れて時間を忘れた。人の話し声に驚いてふりかえると、階段をのぼってくる男女がいた。
男のほうは50代半ば、額から頭頂へとはげていて、デニムのジーンズに同じ色合いの作務衣を着ていた、
足下は雪駄だった。女は30歳くらい。蜘蛛の糸にからめとられて安寧をえる蝶のようなタイプだった。
「参拝にこさせていただきました」と男は言った。
ぼくは糸をはったタコの気分だった。あるいは天敵に合って四肢を広げるアリクイか。会釈を返した。
「パワーフィールドがなかなかの神社ですな」と男はいった。
自分は普通人とはちがって特別なんだということを、衣服や言葉使いで強調したがる男は信用できない。
それにぼくはニューエイジっぽい服装の男に好意を抱いたことがない。
ほんものは気負わない、そういうものだ。
「お近くにお住まいですか?」男は訊いてきた。「ええ、まあ」といって神社をあとにした。
光の柱は消えていたし、彼らにはそもそもそれが見えていなかったようだ。
神社の入り口の道路の道幅がひろがったところには駅からのタクシーが駐車していた。
「もうやってきたのか。うっとうしいことだ」と思った。
(写真はミズチ。姫神の乗り物)
| 過ぎてゆく日々のこと | comments(0) | trackbacks(0) | posted by YK
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