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<子天狗玄太> 「手が冷たいの」と姫神が玄太にいった  10:35
紅梅
<子天狗玄太>
「手が冷たい」十二単姿の姫神がいった。
玄太は身体ひとつぶんにじりよって姫神の手に自分の手を重ねた。
5月の田に水が流れいるように玄太の胸に熱情が広がっていく。
ゲンタはもうランドセルをしょっていない。スリムなジーンズに白いポロシャツ。
ぼくは源氏物語絵巻をみるように彼らをみている。
天井を抜いて上から見下ろす構図は、人形遊びをする少女たちの視線だと、たまたま開いた本にでていた。
絵巻のなかの個性も表情もない男や女の顔は人形の模写という。
絵巻に見入ると、人形劇の人形が生気を帯び個性を宿すように、描かれた男や女が生身になる。
十二単は十二枚の袷(あわせ)の着物と一重(ひとえ)の肌着のこととか。
十二は1セットを象徴する数字だから、どうしても十二枚必要なわけではない。
袷の着物は上に重ねるほど少しづつ短くする。すると襟や袖に重ねの色模様が縞状に浮かぶ。
ほの暗い室内では絹がみずから輝いているといいたげに光る。
十二単の女御たちがわずかに動くだけで、かさねの色目は蛍光する。
「ふるさとの海や山が懐かしい。親神さまのもとに戻ってみたい」姫神がいう。
「ほんとうに竜宮って海の底にあるの?」と玄太。
「だって友だちがいうには竜宮は海の中だから、おいらたちが行こうとすれば溺れてしまうって」
「国津神たちは北と南を天地と取り違えているのね。北の果ては天につながり、南の果ては海の底と思っている。
そうじゃないの、北の果てには大陸がある。竜宮は南の島。ここからずーっと遠くにある常夏の島、
冬でも重ね着しなくてすごせる」
神々は分霊(わけみたま)する。分身が日本の各地に招かれて祭られる。
岩船神社の女神と竜宮乙姫の関係は、今風に解釈するなら端末のPCと巨大なサーバーに記録されたAI
のようなものなんだろう。
姫神はゲンタの手のなかで自分のてのひらを返してゲンタの指に指をからませた。
思春期の少女そのままに若々しい女神だった。
| 日本翡翠情報センター | comments(0) | trackbacks(0) | posted by YK
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