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姫神がいった。みなさんを祝福してひとて舞います 08:21
モクレン
<子天狗玄太> 
「みなさんを祝福してひとて舞います。玄太にはとても感謝しています。
みなさんの好意をありがたく思っています」姫神が立ちあがった。
大きな筒袖の着物、ひだのたくさんついた丈の長いスカート、
着物のうえにはベスト様で袖のない上着をはおり、
首には勾玉と管玉でむすばれたネックレスを着け、
パシュミナのストールをもっと長くしたような天の羽衣(ヒレという)をかけていた。 
新潟県糸魚川市の天津彦神社の所蔵という翡翠の女神、ヌナカワヒメの彫像に似たいでたちだった。 
おごそかで陶然となるほどに美しかった。
着物の色は明るい朱にみえた。ロングスカートはストライプ模様で赤と複雑な色調の青緑が
交互にあわせてあるようだった。けれど、色彩を見定めようとすると色が変わり、
きらきらと霧雨のように光るオーラの輝きとあいまって、
上着もスカートも、日本の伝統色で、これはこの色というふうに特定しがたかった。
雅楽の雅な音色が高く響き、雲の上へと連れて行かれる気分がした。
女神は 東からの風となり、西からの霧雨となった。陽射が戻り壮大な虹がたった。
そうやって手振りによって光が紡がれた。老齢の梅の木が何本も植えられた梅園が織りだされ、
それぞれに紅白の梅の花を咲き別けて、酔い痴れるほどに強く花の香りがみちた。
 彼女の身体は宙に浮き、羽衣をなびかせて木々のあいだをすべるように舞った。
やがて早春の雪のように花弁が舞いちり、花弁のひとつひとつが銀色の光に変わった。
まばゆくて見ていられないほどの光の洪水のなかで、
女神は小さなたつまきのようにくるくるとまわるのだった。
 
彼女が視界の左端へと移動したとき、背後に胡座を組んだ玄太の姿が目に入った。
彼は両肘を高く揚げ、石笛を唇にあてていた。雅楽の音は玄太の石笛だった。
あのように小さな穴一つで横笛の吹奏同様の音楽を奏でることが驚異だった。
真冬の夜空の流れ星のようなキリキリと澄んだ音が女神の舞いに和していた。

| 日本翡翠情報センター | comments(0) | trackbacks(0) | posted by YK
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