| CALENDAR | RECOMMEND | ENTRY | COMMENT | TRACKBACK | CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE |
異国の街に出現したフローライトのピラミッド・1 20:42
フローライト
<フローライト> 
町中のちょっとした広場だった。そこにそのフローライトは突然出現したのだという。10年前の出来事だった。
5階建てのマンションほどの大きさでピラミッド型の緑色半透明のフローライトだった。
学者たちはひたむきにそれを研究した。ばかでかくはあるが双晶のフローライトであること以外、
なにもわからなかった。
「どこから来なさった」管理人がいった。「トーキョーから」ぼくは答える。
「ここまでくるのに飛行機にのり、列車とバスを乗りついで5日間かかりました」
「まるで池の真ん中に投げこまれた小石から波紋が広がっていくようですな。神秘の小石です。
神秘がここから世界中に広がり、神秘に惹かれる人たちを集めているのです。不思議なことですな」
「ええ」ぼくは言って巨大な緑のピラミッドを見上げた。4-19-3 


フローライト
<フローライト>  
「このピラミッドには満月の夜にだけ開く扉があるんです。
科学者たちにはわかりようのないことですがね。日本からも調査隊がきました。
徒労でしたな」管理人がいう。「へえ、」尊大ぶったものいいに賛同しかねる声でぼくはいう。
「人は世界はかくかくしかじかであると教わり、その考え方を唯一の世界の在り方と信じるんですな。
そうやって世界は疑いようのない実在として存在していきます。
けれどこのピラミッドはそういう世界の解釈の仕方に属しておらんのですな」
「ああ、第三の眼とかで内側に入る扉を探せということですか」
「まさにしかり、第三の眼をおもちですかな?」
「ぼくはありきたりの旅人なんですよ、特殊な能力はからきしです」
「ともかくも満月の夜までこの地ですごされるようお勧めします。
ピラミダス全体が青白い蛍光色を発して、それはもう、この世のものとはおもえないほどみごとに輝くんです」 4-19-3


フローライト
<フローライト>
この土地の満月は東京でみるのとだいぶ違う。こうこうと輝くさまは陽射であるがごとくに強烈で、
天上にのぼった満月のしたでピラミッドは青紫の蛍光色を発して超巨大な蛍光灯スタンドのごとくに
自ら輝いていた。ああ、蛍光灯と蛍の光とフローライトは同じ原理で光るんだ、などと思う。
ピラミッドの内部に入る扉があると、管理人が行っていた。周囲を一巡しても扉らしきものはなく、
観光客や参拝人のたぐいも見当たらず、静まりかえっている。
しきりとタバコがすいたくなるが、数年前にやめたままだ。
思案してあれだと、思いつく。
「トンネルをくぐる、野原がある、ガイドが来るのを待つ、そうやって物語が進展していく」。
あの瞑想法に従って、さらに一巡して北西のすみに開いた切り口があるのを見た。
入り口の壁が緑色に蛍光していた。地下へと向かう狭い階段があった。
階段は7つ8つと折れて地下深くへと降りていった。
| 日本翡翠情報センター | comments(0) | trackbacks(0) | posted by YK
Comment








Trackback
この記事のトラックバックURL: http://kitade.stonesbazar.lolipop.jp/trackback/1233576
<< NEW | TOP | OLD>>