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<美人生霊アイス・2> 美人生霊からの挨拶  10:08
ベラクルスアメシスト
<美人生霊アイス・2> 美人生霊からの挨拶
「危ない!」と女の声がした。歩みを止めた。
足下のガードレールの支柱の脇に1メートルはこえるだろう大きさのマムシがいた。
まるまると太って焦げ茶に薄茶のストライプ模様、鱗はラードを塗ったようなぬめりがあった。
マムシは鎌首をあげてぼくを見ていた。あと一歩で踏み付けるところだった。
チッチと舌うちしたげにマムシはとぐろを解いて路肩の茂みに入っていった。
ガードレールは路肩ぎりぎりに設置されている。
小川との間は人の背丈2倍ほどの崖になっていて、灌木や雑草が茂っていた。
水辺に降りたマムシはうねうねとくねって川を渡り、岸辺に沿って上流へと泳いでいった。
このあたりでは川幅は7、8歩もあるけば渡れそうに狭く、くるぶし程度の水深しかない。
「気をつけなきゃ」と声がいった。張りがあって成熟した女性を思わせる声だった。
振り向いても誰もいなかった。
「カワセミがいたんだ。それでついそっちに気をとられていた」ぼくは言った。
「カワセミにマムシってワイルドライフみたい」
「お化けなの?」頭の中に聞こえてくる声に言った。
「お化けじゃない」
「じゃあタヌキかキツネ? それも違う? お化けなら、そういうことができる人のところにいって、
ちゃんと向こう側に送ってもらわなきゃ」
「死んじゃいない。ちょっと身体から出てきただけ」
「えっ?」「イキリョウ」
「生霊ってわけ? そんなの常軌を逸している」アイスとよぶことになる美人生霊とのなれそめだった。
「ずーっとね、お話できる人がほしかった。あなたの頭から変なふうにオーラが吹いているのが見えた。
それでこの人は同類かも、と思った。お話したかったけれどきっかけがつかめなかった。
わたしのことを怖がらないかしら、とか、生霊を信じてもらえるかしら、とか心配だった。
だから、怖がらないでいてほしいし、嫌でなかったらときどき、こうしてお話できると嬉しい」
そんなふうに彼女は言った。
(彼女は淡い藤色、ベラクルスアメシストみたいな)

| 美人生霊アイス | comments(0) | - | posted by YK
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